どうも!丸です。

なかなか書きにくかったりしますが、気を取り直して

「余るポスドク」

「博士課程をでたらどうするの?」
これは現在博士課程の3年に在籍する私自身もよく聞かれることです。

近畿経済産業局のアンケート調査によるとほぼ8割がアカデミックポストもしくは企業の研究職であり、のこりの2割が研究以外仕事に従事したいという形になっています。ただしこれはみんな就職できればの話です。もっと怖いのは博士をでたら高級ニート?ってことになっている方もいるということです。

ちょっと資料は古いのですが平成12年度の博士課程卒業者の進路を見てみると
そのまま助手などの教員になれたのが13%企業、政府機関に勤めることができたのが18%そして、ポスドクが20%です。ここまではポスドクの率が高い、という「あまるポスドク問題」ということになりますが、パーマネントでないにしろ職につけたと言う意味ではラッキーですね。

一番恐ろしいのは無職・不明が25%にも上ると言う事実がここにあることです。

理系の就職率だけでみると学士>修士>博士、という構図です。高学歴になればなるほど、就職率が悪くなる。能力を高めるために進学したはずなのだが社会から外れすぎた能力を高めてしまったからなのかもしくは、その能力と引き換えに何かを失ってしまったからなのか・・・。

ポスドク問題もさることながら、博士課程卒業後の無職率が高いこともやはり大学の博士課程を卒業するまでの人材育成に問題がある可能性がありますね。

大学は研究室に所属すると教授を中心とするヒエラルキーの中で研究をおこなっていきます。それは今も昔もかわっていないと思います。

しかし、現在は研究のスタイルが、だいぶ変わってきたのではないかと思います。

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皆が遺伝子配列の決定に明け暮れ、数100ぐらいのDNAや80程度のtRNAなどの配列を決めるだけでペーパーになった時代である。あぁでもない、こうでもない、と頭を悩ませている暇があれば、実験をやって生データを蓄積したほうがよっぽど有用だった。
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いまでは遺伝子の配列を決めただけではもちろんペーパーになりませんし、微生物においてはゲノムをすべて読んで決めたとしてもたいしたインパクトのある論文には到底なりません。特に配列決定に関しては私の研究室もそうですが、すでに手を動かすことはなくなりました。今は、大腸菌からプラスミドを抽出したあとは、企業に外注し、2〜3日の間にデータが戻ってくるという形になりました。自分でやるよりも早くて、正確で、安い。

つまり今の学部生はゲルをつくって配列を自ら丸2日かけて読むことがなくなり、配列のピークがうまく出ない、といったルーティンな悩みをかかえることがなくなったのです。これがいいことか悪いことかはわかりませんが、それだけ時代が進歩し、研究速度、研究内容が今まで以上に急速に変化したことは間違いないでしょう。なぜなら、この事実は少なくとも僕が研究している5年間の間に起こったものだからです。

では、研究体制はどのように変化したのでしょうか?

はっきりいってまったく変わっていないとおもいます。もちろん、教授が変わったわけではありませんので。

学生には不幸なことに、いままでは詰まったときにでも最悪手を動かせば論文はでたのですが、これからはもっともっと学生は頭を動かすところのトレーニングをしなければ論文を出すことすらできなくなるということになっていくでしょう。

どのような研究が意味のあることなのか?
どのような戦略で研究を進めればよいのか?研究計画はどのようにえがくか?

こういった思考のトレーニングをしていかなければこれからの世の中にあった研究者になれるとは到底思えないですね。

これがまさにバイオベンチャーと大学との間にある溝ではないでしょうか。


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ここで整理すると問題は2つ。1つはすでに量産されてしまったポスドクをどうするのか。もう1つは今後、ニーズに適合したポスドクをどうやって育成していくのか、である。
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あ、いろいろ書いたけれども二つの問題の解決策までいきませんでした。とりあえず、現在あまっているとされているポスドクをどうするか。ここに焦点をあてて、なにか意見ありませんか?